投稿日:2025年1月7日
遺言作成に関する相談を受け、一番困るのは「遺言者に遺言を作成する能力があるのか(遺言能力)」の判断です。
遺言作成について相談があった場合、弁護士や司法書士等の専門家を紹介した上で業務に携わるケースが多いのですが、そもそも遺言を作成する能力がないのであれば、弁護士や司法書士を紹介しても時間の無駄になってしまいます。
認知症の方は遺言を作成できないと思っている方が多いようですが、実は認知症だから遺言を作成できないという訳ではなく、認知症でも遺言を作成できるケースもあれば、認知症じゃないのに遺言を作成できないケースもあるのです。
遺言能力について、専門家は「遺言の内容に即してみたときに、遺言者がその遺言内容を理解し、遺言をするときの判断をすることのできる知的・精神的状態にあったか否かにより判断される」と解説しています。
つまり、遺言の種類や内容によって遺言者に求められる能力が異なるのです。
例えば、認知症であっても簡単な内容の遺言であれば作成できると判断されるケースが多くなり、難解な言葉で書かれた高度な内容の遺言であれば作成するのは難しいと判断されるケースが多くなります。
遺言能力の判断は法学の領域であるのに対し、認知機能は医学の領域です。
また、認知機能はその時の体調や心理状況、環境等遺言者が置かれている状況により評価が左右されますので、常に評価が一定という訳ではなく、それを基にした遺言能力の判断は相当難しい…。
公証人や弁護士等法律の専門家であっても遺言能力の判断は難しく、例え医師の診断書に「問題なし」と書かれていたとしても、それはあくまで医学的見地からの治療を目的とした判断に過ぎず、それをもって即遺言能力ありとはならないのです。
(誤解を恐れず言えば)結局最後は「えいや」になってしまうのですが、後々トラブルが生じないよう、遺言に携わる専門家には念には念を入れた慎重な判断が求められるのです。
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