投稿日:2021年12月28日
相続ビジネスへの誘い文句として、「揉めないように」とか「争いを回避し」「円満相続のために」と言うセリフを目にします。
このようなセリフを目にするたびに「何も分かってないな」と思います。
何も考えずこの言葉を聞くと「そうだよね」と思ってしまいますが、現実に目を向けると実現不可能な<夢>に過ぎないことが分かります。
「とにかく、娘二人の仲が悪いんです」と相談に来た両親がいました。聞くと、仲の悪さは数十年に及び、口もきかない仲だそうです。「私達が死亡した後、娘達が揉めないように今のうちに対策しておきたい」と希望しています。
通常だと「遺言を作成しておきましょう。遺言の付言に両親の気持ちを記しておくと気持ちが伝わります。」等と助言するのでしょうが、果たして遺言を作成したら両親の希望は叶えられるでしょうか?
僕は「揉めないようにとおっしゃいますが、姉妹の仲が悪いので必ず揉めると思います。どんな対策を講じても、仲が悪い姉妹が仲良しになることはありません。『揉めないように』はできませんが、『揉めても相続後の手続きが進むように』することはできます。それでもよろしいですか。」と尋ねます。
「揉めるか/揉めないか」は人間の感情や相性の問題なので、誰かが何かをしたら揉めないなんてことはありません。
仲の悪い姉妹が仲良くなる対策なんて聞いたことありませんし、目にしたこともありません。
「揉めないように」とか「争いを回避し」「円満相続のために」は言葉が足りないと思います。
正しくは「揉めても相続手続きが滞らないように」とか「相続手続きの争いを回避し相続財産の名義変更を行えるように」「円満相続手続きのために」ではないでしょうか。
我々相続コンサルタントは、相続における前後の対策や手続きについて助言できるだけです。
人の感情はコントロールできません。
「この人に相談したら娘達が仲良くなる…」なんて勘違いされないように、何ができて、何ができないのか、きちんと説明しないといけません。
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