投稿日:2022年8月8日
ある生命保険の募集人(以下「Dさん」と言う)からお客様の相続対策について相談を受けました。
お客様は80歳の男性。相続人は妻と子2人。妻は後妻、子は2人とも先妻の子であり、後妻と先妻の子の仲は犬猿。
男性は30年以上前からタンス預金を行っており、自宅には現金が1億円以上ある。タンス預金以外の男性の財産は、銀行にある少々のお金と自宅だけ。
近い将来自宅は売却し、そのお金で終身利用権の老人ホームに夫婦揃って入所する予定。
男性は全ての財産を後妻に相続させたいと希望している。できれば遺言は書きたくない。
この案件に対し、Dさんは、
「奥様は配偶者ですから1億6千万円まで非課税ですよね。だから全部相続しても相続税はかからないはずです。問題は遺産分割で、タンス預金を全て後妻さんに相続させるためには、タンス預金をまとめて一時払い終身保険にすればいいのではないでしょうか。生命保険は受取人固有の権利ですし、遺産分割の対象ではありません。そうすれば遺産分割の対象財産は少々の銀行預金だけになりますから、遺言を書かなくても大きな問題にならないはずです。ちょうど当社に抜群の外貨建ての終身保険がありまして、お客様のニーズにピッタリなんです。先生、いい案でしょう。」
と、自信ありげに自らの対策案を説明してきます。
どう思いますか?
何十年も前からのタンス預金を表に出すの???
しかもわざわざ生命保険にして足跡残す???
お客様のニーズ???
突っ込み処は満載でしたが、僕は何も言いませんでした。
一つだけ、「Dさんのお父様がこの男性だとしても外貨建ての一時払い終身に加入させますか?」とだけ聞きました。
Dさんは黙ってました。
その後、Dさんとは付き合いありません。
「お客様のため」と言いながら、結局自分の手数料のことしか頭にない人と付き合うつもりはありません。
ただ、このお客様がその後どうなったのかが気になります。
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