投稿日:2026年6月1日
令和8年5月17日(日)付の新聞に、『無期転換望んだら転籍~「法律ねじ曲げ妨害された」~雇用解消の意図透ける』の記事がありました。
密かにお気に入りの「揺れた天秤~法廷から~」シリーズ。
今回は、有期雇用契約を無期雇用に転換してもらおうと5年間頑張って働いた矢先に派遣元の会社から突然転籍を言い渡され、正社員になるきっかけを潰されたと派遣会社を訴えた事件が取り上げられています。

現行のルールでは、有期雇用の派遣契約が5年を超えると労働者は会社に正社員(無期雇用契約)への転換を申し込むことができます。申し込みを受けた会社はこれを断ることができません。
しかし、会社側は「いつでも契約を打ち切れる派遣ならば安い賃金で済むし社会保険や福利厚生の負担も軽いからいいけど、正社員になったらそれなりに払わないといけないしクビにできなくなるからちょっとなあ…」と(内心では)思っています。
もちろん人手不足ですから労働力の確保は会社にとって重要な問題であることは間違いないのですが、それはあくまで“できる労働者(使える労働者)”の話であって、派遣料に見合う程度の仕事しかできない人にわざわざ高いお金を払って雇用する気はありません。
日本の労働契約は超労働者有利に定められており、一度雇用したら余程の理由がないと雇用を打ち切ることはできず、終身雇用し続けなければいけないからです。
そのため、「無期転換ルール」を回避しようと脱法すれすれ(というかほぼアウト)で契約を打ち切る会社もあると聞いています。
2025年3月、東京地裁は男性の無期転換権を認め「派遣会社の派遣事業転籍は労働者との雇用関係を解消する意図が伺われる」と指摘したものの「その意図が直ちに違法とまでは言えない」として会社側に休業手当に相当する額の賠償金の支払いを命じるにとどめました。
双方が控訴した東京高裁では「転籍の合意が無効である」と男性の主張が認められ、男性側に有利な条件での和解が成立しました。

就職氷河期の時代に社会人となった人は、希望の職に就けず、やむなく派遣社員の安い賃金で働かざるを得ず、ようやく正社員の道が開けたと思ったらその道を閉ざされる…。
地獄ですね。
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