投稿日:2024年11月27日
令和6年11月12日(火)に相続業界大注目の裁判が最高裁でありました。
判決に先立ち最高裁が弁論を開いたため「二審が覆るであろう」と大方が予想した通り、高裁の判決が覆り「代襲相続権なし」の判決が出たのですが、相続対策として養子縁組を提案している方、或いは検討している方は、この判決をきちんと理解して置く必要があります。
事案の概要は(言葉で説明するとややこしいのですが)簡単に説明すると次の通りとなります。
①平成3年、Bさん(女性)が実母の姉(Bさんから見たら伯母、D)の養子となった。
②養子縁組を結ぶ前に、Bさんには2人の子(男と女、原告)がいた。
③Bさんの養親となった伯母のDさんには実子(男、C)がいた。
④その後、伯母が死亡し、平成14年にはBさんも死亡した。
⑤平成31年、養母である伯母Dさんの実子Cさんが死亡した。
⑥Cさんの相続人は誰か?が争われた。(正確に言うと、養子であるBさんの子2人に相続権があるかが争われた。)
*新聞記事はこちら
Cさんには配偶者や子がいなく、両親も既に他界しているため、次順位の相続人は兄弟姉妹になります。
Cさんと原告の母Bさんは元々従兄弟(親同士が姉妹)だったところ、BさんがCさんの母Dの養子となったことから兄弟姉妹の間柄になりました。
兄弟姉妹の子(甥姪)には相続権があるのですが、BさんがCさんの母Dの養子となった時、既に原告は生まれていたため、「養子縁組前に生まれていた子には親族関係が生じない」(大審院、1932年)という判例に照らすと「原告には相続権がない」と言う結論に達します。
一審の横浜地裁は大審院の判例に基づき「原告には相続権がない」と原告の請求を棄却しました。
しかし、二審の東京高裁は、祖父母から孫への「直系型」には養子縁組前に生まれた子には相続権がないと規定しているが、伯父や伯母から甥姪への「傍系型」にはその規定が当てはまらないため「原告に相続権がある」と国側逆転敗訴の判決を下しました。
そして今回最高裁が二審を破棄し、「CさんとBさんの共通する親であるDの直系卑属でない者は、Cさんの兄弟姉妹であるBさんを代襲して相続人となることができない」として、「原告には相続権がない」と原告側逆転敗訴の判決を下したのです。
民法の解釈の問題であり、結果は妥当だと思いますが、じっくり考えるとなかなか奥が深い…。
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