投稿日:2026年6月30日
親が借金まみれで死亡しました。
借金の額を超える預貯金や不動産を残してくれていればいいですが、借金しかなければ相続の放棄を検討することになります。
その時、先祖代々のお墓はどうなるのでしょうか?
本を読むと「相続を放棄しても祭祀財産(お墓や仏壇、仏具等)は承継できる」と書いてありますが、お墓の土地の所有権移転登記はできるのでしょうか?
まず、祭祀財産について民法を確認してみましょう。
民法第897条(祭祀に関する権利の承継)
1 系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。
2 前項本文の場合において慣習が明らかでないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所が定める。
民法第897条では、祭祀財産として「系譜、祭具及び墳墓」を挙げています。この「墳墓」には、墓石だけでなく、お墓の土地も含まれると解されています。
つまり、お墓の土地は祭祀財産なので、墓石と共に祭祀承継者が承継することになります。
次に、所有権移転登記について確認しましょう。
所有権移転登記の原因には、売買や相続、贈与、遺贈、交換、財産分与、代物弁済等がありますが、相続を放棄した場合「相続」による所有権移転登記は行えません。
この場合、「民法第897条による承継」を登記原因として所有権移転登記を行うことができます。
登記実務における登記の申請者は、「権利者:祭祀承継者」「義務者:相続人全員(又は遺言執行者)」となりますので、遺言がない場合、相続人全員から「被相続人が生前、祭祀承継者として●●を指定していた」旨の確認書を取る必要があります。
相続人の中に、祭祀承継に協力してくれない人や音信不通の人がいたら手続きが滞る羽目に陥ります。
以上のとおり、相続を放棄してもお墓は承継できますし所有権移転登記も行う方法がありますが、余計なトラブルを避けるためにも、
①相続人が返済できないような借金は残さない
②祭祀の承継者について遺言を残す
ことを心掛けましょう。


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