投稿日:2026年8月14日
令和8年7月11日(土)付の新聞に、『贈与、7.5億円申告漏れ~国税指摘~第二電電創業者の親族』の記事がありました。
第二電電の共同創業者である千本倖生氏(83)が子供4人へ資産管理会社の株式を贈与したところ、東京国税局から贈与税7.5億円の申告漏れの指摘を受け、追徴税1.7億円を払ったそうです。
恐らく国税の伝家の宝刀「総則6項」が抜かれた事案だと思いますが、安易に考えすぎだと思います。
新聞記事を基にこの事件のスキームを(勝手に)推測してみました。
①相続税対策として、都内に法人を3社創設し、各法人が銀行から融資を受け都心部(新宿区、港区、中央区)にそれぞれ1棟マンションを購入する(合計約40億円)。
②その法人3社の株価を算定する際、3年以内に取得した不動産は通常の取引価額(時価)で評価されるため、株価は低くならない。(不動産評価額と借入金債務がほぼ同額)
③しかし、3年経過後に評価する場合は、土地は路線価、建物は固定資産税評価額で評価され、しかも賃貸物件であれば貸家建付地、貸家評価と更に評価額が下がる。(8億円だった様子)
④3年経過後であれば借入金はほとんど減っていないため、不動産評価額(相続税評価額)から借入金を控除すると純資産価額はマイナスになる。
⑤各法人がある程度現預金を有していても、上記④で生じたマイナスと合算すれば株価はゼロになる。
⑥そのタイミングで各法人の株式を子らに贈与すれば贈与税がかからない。
⑦都心部の不動産価格は年々高騰しているため、将来子らがその不動産を売却すれば、借入金を返済しても多額のお金が手許に残る。
今回、不動産を取得してから3年経過してすぐに株式を贈与したため、国税から税務調査を受けたようです。
国税は、マンション3棟が8億円と低く評価されるのは著しく不適当であると総則6項を適用し、マンション3棟の合計評価額を34億円と再評価し、子らに贈与税の無申告加算税7.5億円及び追徴税1.7億円を課しました。

この事案、色々と突っ込み処が満載です。
確かに国税庁の財産評価基本通達には不動産取得後「3年以内」と「3年経過後」では計算方法が異なる旨が定められていますが、そこだけ守れば良いのではなく、経済合理性のない租税回避行為には国税の厳しいチェックが入るのです。
そんなことはこの世界で飯を食っている専門家であれば誰もが知っている話です。
①顧問税理士はついていなかったのか?
②顧問税理士がついていたとして、税理士は3年経過後すぐに株式を贈与しても大丈夫だと思ったのか?このスキームは危険だと助言しなかったのか?
③実はこのスキームを主導したは銀行が主導したのではないだろうか?(融資、不動産売買等銀行のメリット盛り沢山)
いずれにしても、問題ないと思って実行したのなら考えが安易すぎるというか、ちょっと脇が甘すぎます。

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