投稿日:2024年11月11日
令和6年11月9日(土)付の新聞に、『「106万円の壁」撤廃へ~厚生年金の対象拡大~週20時間以上に原則適用』の記事がありました。
「やはりそうなったか…。ま、そうだよね。」が個人的な感想です。
果たして本当にこの改正は国民にとって良いことなのか…賛否両論あると思います。
記事を要約すると次の通り。
①厚労省は、2025年の年金制度改正で、厚生年金が適用となる収入要件(月収8万8,000円以上)を撤廃する法案を提出する予定である。
②これにより「106万円の壁」はなくなることになる。(月額賃金8万8,000円=年収106万円)
③但し、労働時間要件(週20時間以上)は残る。
④既に決定している企業規模要件の撤廃と合わせると、この改正が実現した場合、新たに200万人が厚生年金の加入対象者となる。
厚労省は「最低賃金の上昇により週20時間働くと月額賃金が8万8000円を上回る地域が増えていることが背景である」と言っています。
確かに、夫の扶養から外れ厚生年金に加入すると「手取りが減ってしまう」と、年収が106万円未満となるよう就業調整する人がいます。
昨今賃金単価が上昇しているため、少し働いただけで106万円を超えてしまいますから、夫の扶養から外れないことを優先する人はますます働く時間を短くするよう調整します。
そのため、年末の繁忙期に人手が足りない事態が生じる等、人手不足に拍車がかかることになります。
「106万円の壁」がなくなれば、少し働いたら厚生年金に加入することとなりますので、夫の扶養云々を無視して働く人が増えるかもしれません。そうなれば人手不足の解消につながるでしょう。
しかし、労働時間要件は残りますので、厚生年金加入を嫌がり週20時間未満しか働かないと割り切る人もいるでしょうから、そうなるとますます人手不足は深刻化していきます。
一方、厚生年金に加入することで、将来年金が増える等のメリットもありますから一概に悪いことばかりではありません。
しかし、働いている人の多くは「将来の年金を増やしたいから」「老後のために」ではなく、「今お金が欲しいから」「すぐにお金が必要だから」働いていますので、老後の年金が増えるといってもそれまでの間どうすればいいの?の気持ちになってしまうのではないでしょうか。
国としても、社会保険の加入者が増えることで収入の面では喜ばしい事態となりますが、これから加速度的に人口が減少していくのですから、長い目で見た場合、今働いている世代が将来年金を受け取る時に支え切れるのかという不安がよぎります。
そう考えると、現役世代が高齢者を支える社会保険における世代間扶養の仕組みは限界にきているのではないでしょうか。どこかでガラガラポン的に仕組みを変えなければいけない時期に来ていると思います。
しかし、今の政治家にその勇気はないし、仮に勇気を出して主張しても報われなさそうですので、結局だましだまし問題を先送りしていくしかないのでしょうね。
そのツケは将来今の子ども達が払うことになります。
それにしても、「103万円」「106万円」「130万円」「150万円」と日本は壁だらけ…。しかも「税金」と「社会保険」で「壁」が異なると言う複雑怪奇な世界…。
この辺り、もっと分かりやすく整理して欲しいなあ…。
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