ブログ「相続の現場から」

相続実務ワンポイント『被相続人が特定口座を持っていた場合』

投稿日:2023年10月2日

皆が期待している「新NISA」がいよいよ令和6年1月から始まります。

 

新NISAは、現行のNISA制度を改良したリニューアル版と思われがちですが、従来の制度とは比較にならないくらい大幅に拡充された制度ですので、全く新しい制度が創設されたと思った方が良いかもしれません。

 

銀行証券会社金融機関の期待も大きく、スタートダッシュをかけるべく既に口座獲得商品ラインナップの拡充等に奔走しています。

 

数年後には株式投資の経験を有することが当たり前になっているかもしれませんね。

 

しかし、相続目線で考えた場合、被相続人NISA口座を持っていると少々面倒なこと、ご存知ですか?

 

今回は被相続人NISA口座を持っていた場合の取扱いについて解説します。

 

福岡で暮らす母が死亡し、母は地元の銀行にNISA口座を持っていました。相続人である子は東京で暮らしています。

子は、母がNISA口座で保有している投資信託や株式は今後も値上がりするのではないかと期待しているため、このまま非課税運用を継続したいと思っています。

しかし、子は家族と一緒に東京で暮らしているため、福岡の銀行で取引するのは面倒です。そのため、東京の銀行に移管したいと希望しています。

 

さて、子の希望は叶えられるでしょうか?

 

手続きの流れは次にようになります。

①子が福岡の銀行に死亡届を提出し、母のNISA口座を凍結する。

②この手続きにより、母の保有資産は払い出されたとみなされる。(それまでの含み益は非課税)

③子が福岡の銀行に特定口座(或いは一般口座)を開設する。

④母の資産を、福岡の銀行にある子の特定口座(或いは一般口座)に移す。

⑤子が福岡の銀行の特定口座(或いは一般口座)を解約する。(子の取得価額は相続発生日の時価のため、譲渡益があれば解約の時点で課税される)

⑥解約した資金を東京の銀行へ送金し、東京の銀行にあるNISA口座で新たに非課税運用を始める。

 

以上の通り、母のNISA口座内にある非課税運用をそのまま継続することはできませんので、子の希望は叶えられないことになります。

 

それだけでなく、子は、今後取引することがない銀行に一度特定口座(或いは一般口座)を開設しなければならないのです。

 

解約することが決まっているのに、継続取引する予定がないのに、です。

 

僕は高齢になったら資産運用は控えるべきと考えています。相続手続きだけの問題ではありません。老後の生活設計を考えたら値動きのある商品への投資控えるべきです。頭の体操程度の少額運用は良いかもしれませんが…。そうすることにより金融機関とのトラブルも避けることができます。

 

そもそも資産運用が必要なのは現役世代です。しかし、現役世代より高齢者の方が多く金融資産を保有しているので、金融機関としてはそこをターゲットにせざるを得ず、そのためトラブルが多発しているのです。

 

横道に逸れましたが、被相続人NISA口座を保有していた場合に面倒が生じること、ご理解戴けましたか?

 

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